腹黒王太子の華麗なる策略

ディオンが真面目な顔で変なことを言うから、思わず吹き出してしまった。

「強かってクリスが?それ、なんの冗談?クリスは天使みたいに優しくて穏やかで、虫だって殺さないんだよ」

呆れた顔で数秒私をじっと見るディオン。

「……お前って幸せな奴だな。相手する俺が疲れる」

「私のことを馬鹿って言っているように聞こえるんだけど」

腕を組んでギロッとディオンを睨みつければ、彼は意地悪な顔をしてニヤリとした。

「よくわかったな。おい、アン、侍従長に言って食事は兄上の部屋に持って来させろ」

「かしこまりました」

ムッとしながらも、恭しくディオンに頭を下げた。

お互い王子と侍女の顔に戻ると、ディオンはクリスの部屋に入り、私はクリスの部屋着を持って自分の部屋に向かう。