腹黒王太子の華麗なる策略

キョトンとしながら首に手をやるが、どこにあざがあるのかもわからない。

「……ひょっとして昨日の夜、兄上の部屋で寝たんじゃあ?」

ディオンがじっとりとした目で私を見る。

マズイ。完全に目が覚めたみたい。

「……クリスと夜、本の話をしてたらそのまま寝ちゃったみたいで……」

誤魔化せないと思い、正直に認める。

「ああ……だからそのあざつけられたのか」

ディオンはひとり納得顔。

あざをつけられる?

何に?

クリスの部屋で寝るのと、あざができるのとどういう関係があるのだろう?

「ディオン、意味がわからないんだけど」

ディオンに詳しい説明を求めると、彼はなぜかやれやれといった様子で額に手を当てた。

「お前鈍いもんなあ。兄上だって男なんだから、そのうちお前みたいなトロイ奴なんかパクッと食われるぞ。多分その機会を狙ってる。あの人、かなり強かだぞ」