腹黒王太子の華麗なる策略

あれは……ラルフ宰相。

長い黒髪を後ろでひとつに編み込み、綺麗な漆黒の瞳を持つラルフ宰相は、三十歳と若いが有能でクリスを支える一番の重臣。

真面目で部下の信頼も厚く、私達侍女にも優しく接してくれる。

『インヴァネスの高潔』とも呼ばれ、民からも尊敬されている彼。

クリスもラルフ宰相もどちらも聡明だが、クリスが天才なら、ラルフ宰相は勤勉で秀才といったところ。

彼の父親も前のインヴァネスの宰相だった。

私が城で働いているのも、ラルフ宰相の父親が城の近くで倒れている母と私とモコを見つけてこの城に連れて来てくれたから。

私達親子の恩人だった彼は、戦争で亡くなって今はいない。

それで、ラルフ宰相が父親の志を継いで宰相になったのだけど……。