「どうするって……」

「あのプレゼン。どう考えたって、アンタのことを言ってただろ」


真っ直ぐに言葉を突きつけられ、返す言葉を失った。

あのプレゼンとは間違いなく、朝陽のグループのプレゼンのことを言っているのだ。


「あれを聞いても、まだ、お互いに意地を張り続けるつもりかよ」

「意地なんて……」

「意地張ってんだろ、アンタも、アイツも。お互い本当は話したいことがあるのに……伝えたいことがあるはずなのに、一番肝心なことは相手に伝えてないままだ」

「……っ」


陸斗くんの言葉に、今度こそ息を飲んで押し黙った。

私が、朝陽に伝えたいこと……。

そんなの今も昔も、一つだけだ。


「アンタもアイツも、相手のことを考え過ぎて、結局自分の本当の気持ちが言えなくなってる。だけど、少なくともアイツは、前に踏み出したんじゃねぇの?」


その時、スカートの中に入れていた携帯電話が震えた。

音が聞こえたらしい陸斗くんが、顎で「見てみろ」と言う。

促されるまま、そっと携帯電話を取り出して画面を開けば、いつぶりかもわからない、朝陽からのメッセージが届いていた。

【片付けが終わったら迎えに行くから、第三音楽室で待ってて】

思いもよらないそれに驚き固まると、今度は旋毛に盛大な溜め息が落ちてきた。