一くんに教えてもらった場所はマンションの一室。
確か知り合いに1日だけ借りるとか言ってたよね。
「お疲れ。静音、しゅーや。ほら早く入った入った!」
部屋の中に押し込むように入れられる。
部屋中飾られていて、テーブルの上には大きなケーキと様々な食べ物が置かれてる。
用意してくれていたらしきお茶を飲み終わると、各々クラッカーを持たされた。
「もうそろそろ来るだろうから電気消すぞ。2人が入って来たらクラッカー頼んだぜ」
「うん。了解」
「なんで俺まで…」
そうは言いつつも、左手でクラッカーの本体を持ち、右手では紐を握る柊也。
それと同時にチャイムが鳴り、返事をすることなく大人しく待機。
再びチャイムが鳴り、暫くするといつきくんの声とノック音が聞こえた。
数秒後、玄関のドアが開く音がして、足音も聞こえ出す。
黙ったままこの部屋へと来るのを待っていると、足音は段々と大きくなり、部屋のドアが開いた瞬間、クラッカーの音が鳴り渡った。
「いつき!ナギ!おめでとー!!」
一くんの声が聞こえてすぐに電気が付けられ、いつきくんと凪さんの顔が見えた。
さぞ驚いた顔をしているだろうと期待していたのだが……その期待は全く外れていた。
いつきくんは冷めた目で一くんを見ていて、凪さんはいつもと変わらない無表情のまま。
少しも驚いた様子のない2人に、逆に此方が驚かされる。
「えっえっ…あれ……驚いて…ないのか?」
「驚く…?そのような要素はありませんよね?」
「えっ…え!?まじで!?なんでだよ!?」
「どうしてと聞かれましても…」
いつきくんは私と柊也を見た後、凪さんに目線を向ける。
凪さんは何も言わず、ただ首を縦に一度動かした。

