「それはもちろん。構わないわ。会えばわかるもんなのね。間違いなく父親だと思うから」

そうクスッと笑っていえば、父も微笑んで

「そう言ってもらえて良かった。今回は数日滞在するから明やコージも交えて食事しよう」


そう言うと実は仕事もあるからと、父は滞在先のホテルに戻って行った。

父を送り出して、部屋に戻った私は一息つくとポツリと言った。


「もっと、問答無用で、さぁ!一緒にイギリスに帰ろう!とか言い出すかと思ったけど。案外しっかりしてた?」

そんな呟きを零すと


「エドはアレでいて理知的よ。弁護士なんだから人を見る目もあるしね。そんな、エドが愛した人との子である夏美に対して無体はしないわよ」

そう言うのはさっちゃん。


「ただ、やっと会える娘に妙なテンションにスイッチが入っちゃってな。落ち着かせるのに苦労した」

そう、ため息とともに零したのは明さん。

「どうにも昔から好きな相手には暴走する癖があってな、それを上手いこと操縦出来てたのが麗蘭さんだ。夏美ちゃんはしっかり麗蘭さんのいい所持ってきたんだな…」

しみじみと言うのは倉持さん。


「なんか、私が言うのも癪だけど。お騒がせして申し訳ないです」

とついつい謝ると、


「あとで、エドにご馳走様奢らせるからいいよ?」

と三人揃って言われた。


「なんか、みなさんの学生時代が垣間見えますね」

クスクス笑っていうと


「大人って言ってもな、そうそう中身は変わらんものだよ」

との言葉を残し倉持さんも、仕事に戻った。


私と明さんとさっちゃんも、もう一杯お茶を飲んだらみんなで仕事に戻った。
ほんと、私の父はなかなかのお騒がせをしてくれたけれど、どうやら周りの友人には恵まれた人みたいだ。


智子さんにもお騒がせしたお詫びをして、残りのクッキーを渡した。


そして、終業時間まで目いっぱい働きまくって、仕事を終える頃に事務所に再び顔を出した父に

「あ、お父さん仕事終わったの?私ももうすぐだから、少し待ってて」

なんて自然と話しかけたら


自然なお父さん呼びに再び号泣して抱きついてきて、とても面倒だった。
でも、こんな父親も悪くないかなと思うのは血のなせる技なのかな。