お昼を食べて、片付けも済ませて。
簡単なクッキーを焼き上げてお茶の準備が終わる頃。
明さん、さっちゃん、倉持さんに連れられて再びここに訪れた父親と、初の対面となった。
「夏美、夏美だね!」
そう両手で私の顔を挟んで見つめてくる瞳は、同じ色のオッドアイ。
「えぇ、初めまして。エドワード・スチュアートさん」
そう返すと
「うん、その冷めて冷静な感じは麗蘭にそっくりだね。そして髪や瞳は俺なんだな」
そう改めて私を見つめながら言うと、目を細めて笑う。
「俺が現れても驚かないね?なにか情報でもあった?」
実にあっけらかんと言うので、
「自分でテレビ番組使って私を探そうとしてたでしょうが!」
思わず突っ込んでしまった。
「それだけなら、突然来たら驚くだろう?でも夏美は意外と冷静。だから何かあったかなと思って」
お馬鹿な感じがしてたけど、ちゃんと人が見れる人らしい。
そりゃ私の倍以上は生きてるしな、と思いつつも私はこの暴走父を止めた三人を先に労うことに決めた。
「ちょっと待って下さいね。とりあえず迷惑かけた人もいるでしょう?お茶にしますから座って下さい」
そう言ってキッチンに行くと、明さんもついてきた。
「クッキー、焼いたのか?」
「一応ね。お茶請け無かったから」
そう言いながら、二人で準備して戻ると
「え?ねぇ、もしかして明と夏美は付き合ってるの?」
その疑問にも、私は軽くスルーを決め込んだ。
「とりあえず、一息ついてからにしようか?ね、お父さん」
という台詞と、いい笑顔で向こうを黙らせた私に
「これ、夏美に任せた方が早かったか?」
「初対面のはずなのに、なっちゃんのがエドを転がせてるわ…」
「きっと麗蘭さんもこんな感じだったんだろう。やはり親子…」
という三者三様の呟きを
「お茶、飲まないの?」
とピシャリと笑顔でやり込めたのはきっと、残念すぎる父親のせいです。
そうに決まってるんだからね!!



