そうして一時間ちょっとの時間が過ぎて、その間にお昼の時間になったので私は今日の気分は甘い物よ!と一人バナナパンケーキを焼いて食べ始めた頃。
ピンポーンと部屋のインターホンが鳴る。

おそるおそる、モニターを確認するとそこにはさっちゃんが全面に出ていたのでホッとして


「はい、さっちゃん下は落ち着いたの?」


『えぇ、まぁ。そうね…』

そこに飛び出すように顔を出してきた、初めて見る男の人。
私と同じ瞳のオッドアイを持つ、ブロンドヘアーの男の人。

写真より少し老けたけど、間違いなく母と一緒に写っていた男の人だった。


母よ、確かにいい男ね。
見かけはね…。

問題は中身だよ!中身!お母さん!!
ついつい、私は遠い目をしてしまった…。


『夏美?!夏美なんだね!どうして会えないんだい?!』

鼻水と涙でグズグズのイケメン外国人って、これ残念すぎるでしょう…。
何がって?

いろいろ、とでも言っておく...。


「とりあえず、いろいろどうにかしてから会おうか?私もまだご飯食べてるし。さっちゃん達とランチして、もろもろ、落ち着いてから出直して?」

私の声が呆れを含んで冷たかったのは、仕方ないと思う。

しかし、それが逆に父に油を注いだようで…


『あぁぁ、声が、声がレイラそっくりだよ!!話し方までそっくりなんて…!Amazing!!』

インターホンのこちら側で、私が無表情に冷えきったのはお察しいただきたい...


「明さん、さっちゃん!とりあえずご飯食べて来て。このままは無理だから!仕切り直して!!」

その私の叫ぶ声に明さんとさっちゃんが父親を引きずって行った。

最後に残ってた倉持さんが、とってもすまなさそうに言う。
悪いのは倉持さんじゃないけれど…。


「ごめんね、夏美ちゃん。ちょっとお灸据えてくるから、ゆっくりご飯食べてて」


そうして、父親との対面は仕切り直しをする事になった。
主に私の精神面を立直すために…。


もう一度写真を手に取り、私はつい愚痴ってしまった。


「お母さん、いくらイケメンでもあれは中身残念だよ?あの残念さをお母さんはどうしてたの?まさかの私みたいな塩対応だったの?ねぇ、そうなの?」

聞いても答えは返ってこないけれど、呟かずには居られなかった。

「私、外見は父親似で内面は母親似だったのかな…。この間までは外見も母親似がよかったけど、あの中身になるなら、これで良かった気がするよ…」

つくづく思ったけれど、この呟きは大きな、大きな独り言になった…。