「ここじゃなんだしな、家に帰ろう」
そう言ってあっちゃんは、またもや私の手を引きエレベーターに乗り込み家に帰ってきた。
「とりあえず服がそのままじゃ、嫌だろ?シャワー入ってこい。その間に飯、準備しておくから」
そう言うなりペッと私に宛てがわれた部屋に私はサクッと投げ入れられた。
ホント、豪華な作りで良かったよね。
シャワールーム付いてるゲストルームだし。
お部屋に鍵も付いてるし。
「とりあえず確かにこのままは嫌だから、シャワー浴びて着替えよう…」
そうしてシャワーを浴びて、部屋着に着替えて髪を軽く拭いてからリビングに行くと
「ほら、ご飯出来たぞ。ってまた、髪乾かさずに来たな?ほれ、ここ座れ」
リビングのソファーに連れていかれて乾かされる髪。
あっちゃんの手で梳かれながら乾かされると心地よくて、安心感がある。
ドキッとかより安心って、この感覚はどうなの?
これも恋?などと自問していると
「ほれ、乾いたぞ。飯食べよう。お腹すいただろう?」
そう言うあっちゃんは私の頭をポンポンと撫でて、ドライヤーを片付けに行く。
ああぁぁぁ。
なんだろう、来たよ、きた。
ドキッと暴れだしたよ、私の心臓。
この、頭ポンポンに弱いぃぃ。
そして、なんなの?女の人の格好してても美人さんだと思ってたけど、男の人でも美形さんってなんなの?!
そりゃ同じなんだから、美形は美形だろうけれども!!
脳内混線状態でいると
「夏美?早く来い。飯が冷めるぞ?」
クスッと笑いながら言うあっちゃんに、熱くなる顔を見られたくなくて動き出せずに葛藤してると、
「夏美が自力で来ないなら椅子まで運ぶか?」
なんと葛藤してるうちに目の前にしゃがむ美形が!
「この距離運ばれたくない。行くよ。ご飯食べたいし…」
そう、どんな時でもお腹はすく。
そして、あっちゃんのご飯は美味しいから食べないという選択肢は無い。
そうして丸一日ぶりにダイニングのテーブルでご飯を食べ始めた。
今日のメニューは私の大好きな親子丼だった。