『え?えぇ?な、なんで?なんで私が自覚したばかりの事を由香里が分かってるの?!』


思わず勢い込んで聞くと


『あんなに頼りきって甘えてるなんて私は見たことなかったし、された事もないのよ?すごく悔しかったわ。だから会うときはアカリさんと夏美をよく見てた。さっちゃんには親のような懐き方してたけど、アカリさんには少し違った。寄りかかったと言うより、もう預けてた。親への全幅の信頼とはまた違う感情が見えてた。自覚してなかった夏美の方に驚きなんだけど?』

と呆れたように返された言葉に絶句する。

たっぷり黙ったあと、私は尋ねた


『それってそばで見てる人には丸分かり?あっちゃん自身も気付いてたかな?さっちゃんやいっちゃんにレンちゃんにも分かってたかな?』

『あの場で気付いてたのは私とサチコさんだけかな。サチコさんは夏美の気持ちも、そして多分アカリさんの気持ちも分かってたみたい。私にはアカリさんの気持ちがうまく掴めなかったけれど・・・。サチコさんは夏美とアカリさんを見守ってくれてたよ』


そう言われて、確かにたまにさっちゃんは私とあっちゃんのやり取りをニコニコと見守ってる事があった。
全て筒抜けだったのかな、さっちゃんには。


『そっか、分かった。ここからは電源切るから連絡つかなくなるけど行き先はさっき言った通りだから、心配しないで』

『何で?なんで切っちゃうの?』

『あの二人、わりと心配性でしょう?連絡はしたけど多分その前からGPS使って捕捉されてると思うから。今は様子見てるだけだと思うけど。多分あと1時間もしないうちに動き出しそうだから。私も動くわ。じゃあ、またね』


そう言って電話を切り、私は荷物をまとめホテルを出る。

フロントに使ったのでお代はそのままに無理を言って済まないがチェックアウトをとお願いして出た。

ホテルを出る前に電源をオフにする。


そして、向かった駅から私は育った街に行くためにその日の最終の新幹線に乗りこんだのだった。