「よしよし。じゃあ、おじさんはお仕事してくるからね!次に会う時はもっと二人のいい顔を見られるのを楽しみにしてるよ」


そう言って倉持さんはお茶を飲み、去っていった。


「あっちゃん、お見送りしないと」


そう言っても、あっちゃんは離してくれない。


「大丈夫、智子さんにお任せしても」


そう言って再びギューッとされている私。
しかし、そろそろ苦しい。


「あっちゃん、そろそろ苦しいよ?」


訴えると少し緩む腕。
でも離れることは無かった。


「夏美の事は軽くは聞いてたわ。ねえ、夏美。私はずっと夏美が居てくれていいと思ってるから。それはサチも同じはずよ。だから安心して家に居なさい。いいわね?」


その表情は温かいのに苦しそうで、私は眉を寄せた。


「あっちゃん、そんな苦しそうにしないで?私はあっちゃんとさっちゃんに出会えて。二人と暮らして、初めて家族ってこんな感じかなって感じられて幸せだよ」

「うん、それは続くものだと思ってほしいのよ。安心して家に居てほしいの」

「うん、ありがとう。あっちゃん…」


ぎゅっと私も抱きついて、あっちゃんもまたギューッと抱きしめてくれて、ちょっとして離れた。


どうやら私はここで仕事も、新たに家族と思えるような大切な人も得られたみたい。る、
そこからまたキリキリと仕事をこなして終業時間を迎えた頃、私のスマホが珍しく着信音を奏でた。



「あら、夏美のスマホが鳴るなんて珍しい。もう終業時間過ぎてるし出ていいわよ!」


そうあっちゃんに言われて出ると


「夏美!久しぶりね!心配してたけど大丈夫だった?今日やっと時間が取れたの!会えないかしら?」


そう明るく元気な声を耳元に届けてくれたのは、私の大切な親友の由香里だった。