「全く、うちの夏美をあーだこーだ言うんじゃないわよ、イチ!レン!」


そう言いながら後ろからドアを開けてガツンと言うのはさっちゃんだ。


そうしてさっちゃんに背中を押されながら一緒に事務所に入る。


「え?やだ聞いてたのね。ごめんなさいね」

そう言うのは見た目ワイルドなイケてるお兄さん。
でも話し方は以下略。


「やーん、何この怯えた小動物的美人!かーわーいーいー!!」

と言うのは少し歳上な感じのちょっと細身の一見モデルのような美形さん。
でも話し方は・・・


「はぁぁぁ」

おでこに手を当てて、ため息つくのはあっちゃんだ。


流石に一番下っ端の私が挨拶しないのは不味い。
社会人としてやってはいけない!


グッと手に力を入れて、さっちゃんから少し離れた。


「初めまして!今日からオフィスアカリの事務担当になりました。三郷夏美です。よろしくお願いします」


そう言って頭を下げた。


すると


「やーん!やっぱりかーわーいーいー!!」

と美形さんがギューギューしてきた。
ちょっと苦しい。


「イチさん、ズルいわ!私も可愛がりたいわ!」


そう言うのはワイルドなイケてるお兄さんの見た目な、多分レンさん。


「あんた達、夏美はしっかり挨拶したわよ!あんた達もしっかりなさい!!」

「はーい、ボス!」


このふたり息ピッタリである。


「初めまして、私は佐渡賢一(さわたりけんいち)って言うの。でも可愛くないでしょ?周りはイチって呼んでくれてるの。夏美ちゃんもそう呼んでね?私はスタイリスト部門をまとめてるの」


そう言って名刺を渡してくれた。
確かにスタイリスト部門統括マネージャーと肩書きが入っていた。