お皿を持ってサクサクとパスタにピザにスイーツを盛る

夏美を見るとまだ悩んでいた。


「なっちゃん、飲み物は何にする?」


「え?さっちゃんもう選んだの?」

びっくりして振り返る顔は初めに会った時より緊張感が抜けて表情豊か。

可愛いと綺麗を合わせて年相応の美しさのある娘。
それが夏美だった。
新しいモデルかと思ったらアカリが無意識下のうちに惚れて拾ってきた女の子。


この短時間で、見た目同様しっかりして地に足ついたタイプで甘え下手な子という感じだ。


しかし、今は大分緩んできた。
これもアカリや自分の年の功ってヤツだろう。


出会った瞬間に思った。
あ、やっと私の娘に会えたわって。
感覚だし産んでもいないけれど、出会った瞬間に思ったのだからこれは自分の中で重要。


サチコは感覚で生きてるタイプであるが故にそういう感じた事には素直に突き進むタイプだ。


だから、これから先は夏美を母の気持ちで見守っていくと決めた。
アカリは対等な相手になりたがるし異性として甘やかすだろう事は、無意識の態度から明白。
ビジネスオネェを辞める日も近いかもしれない。
そんなふうに考えていると目の前の夏美がキラキラした表情でお皿を覗いている。


「さっちゃん、なんでこんなに綺麗に盛り付けられるの?!」


驚きつつもキラキラ覗く夏美に


「なっちゃん、そりゃ感性の違いよぉ!」

と言えば、軽くショックを受けた顔をしている。


「私、女子力どこかに無くしたんだね・・・」

などと言う。
そんな可愛い娘に、


「なっちゃん。何が食べたいの?私が綺麗に取ってあげるわよ!」

ウィンク一つ送って言えば、沈んでた顔が再びキラキラに浮上。
とってもわかりやすい、私の娘。
存外私も甘やかしてしまいそうね。

そう思いながらサチコは夏美の食べたがったものを綺麗に皿に盛り付けて飲み物は夏美が持ち席へと戻ったのだった。