イタリアンバイキングのお店はそこそこ混みあっていたが、丁度前の時間に沢山入ったのだろう。
時間制限もあるのでそこまで待たずに入れそうなので並ぶ事にした。


「ほら、なっちゃんこっち向いて!目少し擦ったわね?軽く直してあげる!」


そう言うなりパパっと目元のメイクを直してくれるさっちゃんは、世話焼きオネェさんで、料理こそできないものの私に対する行動はお母さんって感じだ。


「サチ、夏美!前進むわよ!」


こうして周り見ながら色々言ってくれるあっちゃんも気遣いできて凄いのだけど、あっちゃんとさっちゃんは同じカテゴライズの筈なのに何故か受ける印象が少し違う。


あっちゃんはオネェさんだけど、私の手を引き歩いたりする所は姉のような兄のような…。
近い存在に守られている感じだった。


そんなふうに二人の事を考えていると、


「夏美、順番きたわよ!」


うっかり考えすぎて足が止まってたみたい。


「はーい、すぐ行く!」


お腹は最高に減っているので、私は楽しみにバイキングのお店に入っていった。

そんな私の様子をサチコとアカリは微笑ましく眺めていた。

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アカリに関しては、夏美を見る目に若干別の色も混じっていたがその事にはアカリ自身も夏美も気づいてなかった。


その時気付いていたのはサチコだけだろう。


「あらまぁ、これから大変そう」


そう呟いたサチコの声はどこか楽しそうでもあり、暖かかったが二人には届かなかった。



「さっちゃん、あっちゃんが先に二人でご飯とっておいでって!」


そう言って自分を引っ張る夏美に


「あらそう?じゃあアカリ、なっちゃん連れて先に取りに行くわね」

そうしてパスタにピザにサラダにスイーツと色々並ぶエリアの前に来た。

美味しそうなご飯を前に緩んだ顔をしている夏美を見て、サチコは和んでいた。