その買い物の荷物もひょいと持って歩くオネェ二人。


どんなに綺麗でもやはりパワーはある。


しかし、私もタフな方だと自負していたがそこはやはり女子なので差はあるようだ。
年の差でもカバーしきれなかった。
私の方が若いのに…。


「さっちゃん、あっちゃん。疲れたしお腹すいたよ。休んでご飯食べようよ…」

二人の服を掴んでお腹の減りから、情けない顔で訴える。


「あー!ごめんなさいね!ついつい楽しくて。でも疲れのおかげで口調がやっとくだけたわね!」


ダブルサウンドはまだまだ元気。
でも私は疲れとエネルギー切れで、もう思考回路もあまり回らなくてこんなんだ。


「夏美、夕飯何が食べたい?」


柔らかく微笑んで聞いてくれるのはあっちゃん。


「お腹すいたから、ボリュームある方が良い。」

そう弱り気味に言う。


「なっちゃん、オムライスのお店とお好み焼き屋と、イタリアンバイキングと中華があるわよ。どうする?」


そう教えてくれたのはさっちゃん。


「イタリアンバイキング!色々食べたい!」


バイキングと聞いて私の気分は浮上した!
そんな私を見て、

「ふふ、色気より食い気ねぇ」

クスクス笑うオネェ二人に


「いいでしょ!!お腹すいたんだもん!」


プリプリして先を歩き出すと


「夏美、レストラン街は反対よ。」


そう言って手を繋いで歩き出したあっちゃん。
お姉さんに連行される妹って感じかな?傍から見ると。


「あらあら、ホントに弱った子猫になったこと。なっちゃんはお腹空くとダメなのね。今度から飴ちゃんくらい持ち歩いとくかしら」

なんてニコニコ言うさっちゃん。


不思議な三人組だろう私達には無遠慮な視線もあったが、そんな事は気にならないくらい二人とのお出掛けと、ショッピングは充実してた。
体が疲れはするけど、気持ちは温かいからちっとも気にしない。


出会って一日目で私は珍しくもこの二人にどうやら懐いてしまったみたい。


だって、私が出会った中でこの二人は群を抜いて優しい。
こんな大人に私は出会ったことが無かったから。


初めての事に戸惑いがなかった訳では無いけれど、その温かさに甘えたくなる気持ちは抑えようがなかった。