「えっ、いや、あの…」
「俺、酒癖悪くて、あんまり覚えていなくて。本当に申し訳なかった」
覚えてなかったんだ。
すごいピッチで呑んでたし、酒癖悪いみたいだし。
今目の前にいる加治田くんは真面目で礼儀正しい人。
多分、仕事でなら普通に話せるはず。
「大丈夫です…」
大きなトラウマになったけど、もう大丈夫なはず。
隣を見上げると、課長は優しく笑ってくれた。
「鬼課長が笑った…」
冴木主任は笑いをピタリと止めて、課長を凝視している。
「なんだ?」
課長は不機嫌そうに冴木主任を睨んでいる。
「堂林課長も恋人にはそんな顔するんですね。驚きました。しかも相手が真宮さんですしね。広報部にも真宮さんを狙ってるヤツがいるんで、知ったらショックだろうな~」
加治田くんの言葉に違和感を感じた。
私を狙ってる?
課長を狙ってるの間違いじゃないの?
課長はモテにモテまくるし。
社内でも社外でも。
隣を見上げると、課長は加治田くんに詰め寄っていた。
「加治田!広報部にもってどういうことだっ!」
「課長、落ち着いてください!俺が知る限り、真宮さんを狙ってるヤツは広報部と総務部にいますよ」
「ほら、言わんこっちゃない。あながち、お嫁さんにしたいナンバーワンも間違いじゃないでしょう?」

