課長はポケットから小さい箱を取り出して開けた。
箱には課長からプレゼントされたネックレスと同じ超高級ブランド名が刻印されている。
課長は箱からキラリと輝く指輪を取り出した。
「年明けには一緒に暮らすことになってるが、ちゃんと言っておこうと思ってな」
「えっ!?」
居合わせた女性社員たちから悲鳴があがった。
フロアのあちらこちらで驚愕の声が聞こえる。
「真宮菜緒」
「はい」
お互い視線を逸らすことなく、課長は私を見下ろし、私は課長を見上げた。
「俺と結婚してくれ」
「は、い…」
声が震える。
鼻の奥がツンとして、瞼に涙が浮かぶ。
課長はそんな私の左手を取って指輪を嵌めた。
「おめでとう!」
「おめでとうございます!」
あちらこちらでお祝いの言葉をかけられ、私は泣き笑いの顔で何度もお辞儀した。
「お前はなにやってるんだよ」
課長はなぜか冴木主任を睨んでいる。
「バッチリ録画しました!結婚式で流しましょう!」
「今直ぐに消せ」
消す消さないで揉めているふたりは、なかなかいいコンビなのかもしれない。

