「冴木、どういうことだ?」
「課長が常務の娘と結婚するって噂ですか?」
「さっき戻ってくるなり、いろんな人に結婚するのか訊かれたぞ」
課長は大きく溜め息をついた。
「課長、結婚するんですか?」
「常務に娘なんていないだろ。そもそもなんでそんな噂流れてるんだよ」
課長は常務に娘さんがいないことを知っていたようだ。
「常務と結婚について、なにか話しました?」
冴木主任の言葉に課長は考え込んで、ハッと顔を上げた。
「そういえば、昨日エントランスで常務に呼び止められて、結婚がどうとか話をしたかもな」
「それが曲がりくねって間違った噂になったんじゃないですか?」
「なんでそれでこんなことになってんだよ」
「それだけ課長は社内で注目の的ってことですよ」
冴木主任の言葉に課長は更に溜め息をついた。
そして、私を見下ろした。
「真宮、大丈夫だったか?」
「へっ!?」
な、な、なにが!?
このタイミングでそんなこと言われても困る。
課長、周り見えてないんだろうか?
みんな、こっち見てるんだけど。

