「孝太郎さん!」
抱きつきたい衝動にかられる。
でも、両手が塞がっているうえに、ここはマンションのエレベーター前。
コンシェルジュの榊さんも近くにいるし、他の住人がいつ現れてもおかしくない。
もどかしい気持ちでいっぱいになる。
「お前、その荷物はなんだ?」
「お肉にお魚、野菜と…」
「買いすぎだろ」
ついさっき私もそう思いました。
背の高い孝太郎さんを見上げて笑ってしまった。
孝太郎さんも優しく笑ってくれる。
すぐ傍に孝太郎さんがいる。
手を伸ばせば触れられる距離。
この上なく幸せで嬉しい。
そんな気持ちでいっぱいになり、素直に言葉が出てきた。
「孝太郎さん、会いたかったです」
恥ずかしいけど、本気でそう思っていると伝えたくて、孝太郎さんから目を逸らさなかった。
「先に言われた」
孝太郎さんはフッと笑ってハイブランドのビジネスバッグを床に置くと、私を強く抱き締めた。

