正門の前でおおあくびをしながら突っ立っているある姿を見つけて微笑む。


「千秋!」


そう呼べば、


「おお!おっは〜!」


って笑う彼女。


この夏休みで、千秋ちゃんだったのが千秋になった。


友達を呼び捨てにするのは、あの人以来だった。


大好きな親友でさえ、わたしはちゃん付けをしていた。


もしかしたら、怖かったのかもしれない。


裏切られるのが。


だから、ちゃんやくんをつけることで、一定の距離を保とうとしていたのかもしれない。


ただ、あの自由気ままな彼だけは例外だった。


理由はわからない。


ただ、あの人だけ、最初から信頼していた…のかな。