「かわいい、ストラップだね」


「ん? ああ」


始業式が終わり、今日は学校自体の部活がない為、冬央ちゃんと一緒に寄り道をする事になった。



「これは…」


寄ったカフェでスマホをいじっていると、冬央ちゃんがスマホに付けているストラップに目を向けてきた。


このクローバーのストラップは、矢吹くんがお礼としてくれたものだ。


なんとなくどこかに付けたくなって、スマホに付けていた。


「そう?」


「うん、どこで買ったの?」


「え…あーうーん」


正直、矢吹くんからもらったとは言いづらく、何気なく濁してしてしまう。


「えっと、貰ったの。お、おばあちゃんに」


「ああ、そうなんだ。可愛かったから、つい」


「あ…はは」


(ダメだ…)


どう考えても、冬央ちゃんに矢吹くんの事を言うのは気が引ける。


どうしてと言われたら、なぜか分からないけど、ただなんとなく。



だって私は…新しく知り合う子と仲良くなれる自信なんてまったくないから。


冬央ちゃんと中津くんとは仲良くなれたけど、小学校の頃の私はいつもビクビクしてて、周りを見計らうような感覚でいた。


誰かに自分の事を言うのが苦手で怖くて、そんな怖がりの自分も大嫌いなんだ。


冬央ちゃんと中津くんは唯一、柚里夏ちゃんと同じように心が許せる友達。


でも、私の中にある病気は言えそうにはない。


矢吹くんに全てを伝えたら何を思うのだろう。


でも、今思えば矢吹くんに仲良くなりたいのはどうしてなんだろう。


普段の私ならそんな事は思わないのにな。