「……………なんだ、いるんじゃねぇか(笑)俺探さねぇとなぁ〜。取りあえず探してくるわ!」


「あ……………うん」


なんか…………ごめん。成海くん。


本当は約束なんてしてないんだけど。

「で、どうゆうこと?」

「周りの女がペア組もうってうるさくてさ。面倒くせぇし、取りあえず"四ノ宮"でいっかなって」

「『"四ノ宮"でいっかなって』………じゃないわよ。ちゃんとアポ取ってほしいものね。それに友達の前で抱きつかれたりなんかしたら、気まずくなって去るに決まってるでしょ?」

ビックリしたんだから。

「自由行動は女に捕まってたし、連絡先知らねぇしで、言えなかったんだよ」

私の前だけでは言葉遣いがいつもの王子キャラとは違う。

気を許してくれてるようでちょっと嬉しいな…………。

やっぱり、この颯真の方がいいと思う。

「そう言えば、四ノ宮って呼び捨てに変えたんだ?」

「あぁ。別にもう性格バレたし、さん付けして気を使う必要ねぇだろ?」

確かに、いつまでもさん付けされたらちょっと気持ち悪いかも……………。

「委員会のことや生徒会の事もあるし、もしものときの為に連絡先教えてよ」

あー………確かに生徒会で委員長会議出れないとかは困るし、知ってた方がいいよね。

それに、またさっきのようにアポなしで予定組まれても困るし。

「LALAチャットでもいい?」

「あぁ」

「じゃあ、フルフルね」

_____ピコン♪

『志乃田颯真さんが友達になりました』

「追加したよ」

あ、アイコン桜だ……………。

「ねぇ、アイコン何で桜なの?」

もしかして、記憶失う前の颯真が____!?

「ん?あー………それか。どこだったけな?どっか行ったときにスゴく綺麗な桜を見かけたから撮ったんだよ」

記憶失った後だったか…………………それじゃあ、覚えてないね。


でも。

「確かにスゴく綺麗な桜ね………。色が鮮やかで、とても美しい」

「桜好きなのか?」

「えぇ。昔から好きなの。この小さなピンク色の花も、散りゆく姿も、とても美しくて心が安らぐ。名前に桜って字が入ってるせいかもしれないけど(笑)」


「あー、なんか山桜っぽい。何となくだけど」

『ねぇ、颯真!桜ってほんと綺麗よね。私、桜の花が1番好きなの!』

『ふーん……。花の何が良いんだか。まぁ、でもお前は山桜っぽいな。何となくだけど』


やっぱり、変わってないよ。

記憶を失っても。表面だけ頑張っても。 

本当の颯真は何1つ変わってない。

「…………なにそれ。でも、ありがと」