いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防

「最初は勿論、文香の友達だったんだ。でも容姿とか家柄とかのオプションを気にも止めず、俺本人に興味を持って観察してくるのが面白いと思った。それから俺に媚びずに会話出来るのが楽しくて、俺の友達になった」

「涼介……」

「それから家族以外の一番近い存在になって、女性だと意識するようになって、もしかしたらこれが恋なのかもしれないって思った。それならこんなに一緒にいるのは、付き合ってるって事かもしれないって」

ゆっくりと体を離した涼介は泣きたくなるくらい優しく眼で私を見下ろしていた。

「なのに湊は突然、他の男と付き合うとか言い出すし。怒ってたんだ」

「あの、私……ごめんなさい。でも……」

その眼にあの時の感情が蘇ってくる。恋を絶対に認めないと決めた、頑なに意地を張っていた。