いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防

「でも、あれって冗談……」

「それ以上言われると傷つくからホントやめて。ってかさ、俺ってどんなヤツだと思われてたの？」

そんな事を言われても、学生時代の涼介はみんなの王子様でいつも女子に囲まれていた。中性的な容姿と柔らかな物腰で、女性の扱いもスマートだった。

「俺が湊以外の女と二人っきりで出かけた事、見たことある？あ、もちろん文香は別だけどさ」

「そう言われれば、ない、かなぁ……。あれ？でも、じゃあ、なんで？」

学生時代、涼介が本当の妹のように思っている文香と二人で出かけていたのは知ってるし、見た事がある。きっと今でも出かける事はあるだろう。
でもそれ以外の女性と、と言われると確かに見た事も聞いた事もない。それなのに誰かと付き合っていると思い込んでいたのは何故だろうか。初め気付いて、疑問符で頭がいっぱいになる。