「ほら、とりあえず座って。全部教えてあげてるから」

「うん……」

促されるまま手を引かれてソファに並んで座ったけれど、ぴったりとくっついて座っている状態が照れ臭い。もぞもぞと動いて体を離そうとしたら。ぐっと肩を抱かれて阻止された。

「ちょっ、ちょっと。涼介、近いよ」

強い調子で拒否したかったのに、胸を押す手も拒む言葉も力が入らない。そんな弱い抵抗に、涼介は小さく声を出して笑った。

「もう諦めた方がいいよ。兄さんの執着心には及ばないけど、俺も十年越しの恋を手放すつもりはないんだ」

「恋」という単語に私の動きが止まる。

「ーーーえ?」

「まさかとは思ってたけど、本当にちっとも気付いてなかったとはね。流石にヘコむな。こないだファーストキスだったって教えたげたのに」