いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防

「ーーー俺的って何？」

「ん？なんだと思う？」

真っ当に考えたら涼介も結婚するのだろうか？いやでも、そんな相手がいるとは聞いていない。でもでも、ただの知り合いや仕事相手にそんなプライベートをわざわざ話す必要はないと考えていたら？

考えれば考えるほど分からなくなって、なんだか泣きそうになっていくのが分かる。そんな自分に驚いて、止められなくて。

「ぷっ。なんて顔してんだよ。ほら、行くぞ」

立ち上がった涼介はコツンと私の額を小突いて、そのまま手を引いて店を出た。

「り、涼介……あの、もしかして」

「俺はまだ結婚はしないし、決まってない結婚式の為に資料を集めるつもりもないよ。俺的にって言うのは、俺の仕事の為にって事」

ぶっきらぼうに前を向いたままで答えながら、涼介は私の手を離す事はない。いつの間にかしっかりと繋がれた手を見つめて、私は訳が分からなくなる。