いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防

うっかり見惚れていたのがバレないように言い繕って、向かいの席を進めた。

ダメだ。今から私はブチ切れるんだから、怒ってる雰囲気を出さなきゃ。

一息吐いて気持ちを改めようとするのに、向かいからのキラキラした笑顔に邪魔される。

「ーーー何?」

「ああ、悪い。嬉しいなーと思って」

「嬉しい、の?」

「うん、嬉しい。こうやってまた、湊と会えてるのがすごく嬉しい」

「そ、そう……」

機嫌の良さを前面に出して、こっちが照れてしまうくらい甘やかな視線で見つめる涼介に、すっかり戦意喪失してしまう。
それならば、となんとか体制を立て直す為に仕事モードに入る。

「じゃあ……こほん。ではミズイさん、打ち合わせを始めてもよろしいでしょうか?」