ここで涼介と出かけたら半年前に逆戻りだ。それでは流石に別れた同級生に申し訳なさ過ぎると思った。

「ーーー意地っ張り」

「意地っ張りじゃないし。ホント、大丈夫。それにさ、時期的に良いタイミングだったんだよ。私、外部受験だし」

「ーーーっ!何それ。俺、聞いてない」

さらりと放った爆弾は予想以上の効果を発揮した。それは私という存在が涼介にとって小さくない事を示したようで、心に仄暗い嬉しさが満ちる。

「言ってないから。ってか、最近決めたから。涼介は知らなくて当然だよ」

「でもっ!でも……文香からも聞いてない」

「ーーー文香にも言ってないから」

大好きな親友の事を思って顔が歪む。きっと私の決心を知ったら、文香は悲しむ。悲しんで、私のためにそれを隠して、優しく笑うんだ。諦める事を当然の事と受け入れる彼女に、本当はそんな思いはさせたくないけど。