いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防

「なっ、なっ、なんて、ことを……!ここは会社で、部長だって梨花さんだって、それに、それに、私はまだ何にも答え出してないし、連絡だってどうやって取ろうか迷って……」

我が社の三人からの驚く視線が痛い。少しでも弁解しようと、これ以上涼介に話をさせるのは阻止しようと、必死に言葉を紡ごうとするのにまとまらない。焦りで上ずった声は、応接室のしんとした空気に虚しく漂った。

「ーーー柏木ちゃんそれ、全然否定してないけど」

その静寂の中、ボソリと梨花さんの呟きだけが響く。

「く……くくっ……ははっはっはっはっ」

はっとした私の否定の言葉を遮ったのは、涼介の大きな笑い声。突然の爆笑に周りのフリーズはそのまま継続する。