いじっぱりなオトコマエ女子と腹黒なイケメン御曹司の攻防

「どういうこと、とは?」

「すっとぼけないで下さい。白々しい」

大きな声を出さなかったのと、口調は崩さなかっただけで褒めて欲しい。それくらい私は今、怒っている。隣で驚いた梨花さんが「この人がミズイさん!?」と小さく問うのもスルーしてしまうくらい。

「今日は紅栄堂さんがわざわざご挨拶に来てくださった、とお伺いしていたのですが?」

「間違ってないな。こうして三橋は社長自ら挨拶に来てるしね」

私の怒りなんて気にすることなく飄々と受け答えをするのは、さっきまで私の頭を悩ませていた存在。

「おい、涼介。話が違わないか?」

焦った三橋社長が隣に立つ涼介の肩を掴んで問いただす。それに慌てる事なく、ニヤリと笑い、私の方を悪戯な視線で見てから涼介は続けた。

「違わないよ。俺の最愛の女性が三橋のトコの仕事の担当。ほら、彼女が柏木湊さん。可愛いだろ?」