とにかく、やれることをやるまでだ。
 今日になって昼間には、涌井にマンション探しの手助けを頼んだ。

 葉山さんがまだ家に来る前の話。
 和乃さんが引退をチラつかせ始めた。
 もし俺も家を出るとなると、親父と准の二人だけが残される。

 近年の親父は洋菓子店のアジア進出もあって、海外出張もある。
 そうなると准はあの広い屋敷で、一人留守番になるだろう。
 それは少し気の毒に思えた。

 高校を卒業して大学へ行く時、家に残るか、出るのかを准は自分で決めたらいい。

 どちらにせよ、その時俺はどこかに部屋を借りるつもりだった。

 その計画を前倒ししようと思ったのは、やっぱり葉山さんの存在だ。

 俺が居ると、親父と静かに暮らすことができないだろう。
 また何かに巻き込んでしまうかも知れない。
 准も懐いてるし、和乃さんも引き際を決めることができた。
 俺はもう、あそこにいる必要がない。

 それに、流石にしんどくなってきた。
 和乃さんと同じように、俺も引き際なのかも知れない。

 借りる予算と条件を涌井に提示したから、タレント可の部屋をそのうち見つけてくれるだろう。