夜になってリビングのソファに腰掛けると、テレビの電源を入れた。
 あと数分で例のドラマ放送開始の時刻、22時になる。

 専務と准君は夕食をそれぞれに終えて、今は部屋に入ってる。
 圭さんはまだ帰ってきてない。
 洗い物は済ませたし、和乃さんレシピもノートにまとめた。


 その和乃さんは今月いっぱいで、家政婦を辞めることになった。
 私が慣れたら和乃さんのタイミングでって、専務と話し合ってたそうだ。
 あと二週間足らずで今月は終わる。
 今日の夕食の席で、専務に聞いた。

「和乃さんが辞めて、もし私もこちらを出ることが決まったら、家政婦さんはどうするんですか?」

「決まってからゆっくり代わりの人を探すよ」

 家の中に他人を上げるんだから、慎重になるのが当然だと思う。
 私のケースが異例中の異例だったんだ。


 その時CMが終わって、テレビ画面はガラリと雰囲気を変えた。
 圭さんのドラマが始まった。