「あかり」


誰かが私の名前を呼んでいる。

……誰?


「あかり!」


わたしの名前を呼んだ大きな声でやっとハッと目を見開かせる。

だが最初に見えたのわ天井でわなく私が毎日見ている見慣れた顔があった。


「おはよう、あかり」


わたしの幼なじみ 大空 要(おおぞら かなめ)が上から私の顔を覗いていた。


距離が近かかったため、急いでバッと体を引き離して言う。


「顔近いって!てか部屋勝手に入らないで」


そう言い返して私がムッと少しふてくされていると、プニッとほっぺを手で掴まれた。


「な、なぁにぃよ〜」


思うように口が動かさなくて変な喋り方になってしまっている。



「毎回寝坊してるのわどこの誰?」


綺麗な要の顔が少し怒り気味になっている。


まあ確かにそれは事実だけど、女の子の部屋に無断で入るのわちょっとねぇ…?


と言い返したいところだけど、要は怒らせると怖いからそこわ我慢して「は、はい…」と弱気な声で返した。


「じゃあ早く着替えとかしておいで」

「はーい」


言われるがまま私は身支度を5分で終わらせて朝食も3分で終わらせた。


てかこんなに早く終わるならやっぱりさっきもっと寝れてたじゃん…



あーあ、眠いなぁ。

昨日はゲーム夜中の3時までやってたからやっぱり眠いよーっ!



「まあしょうがない、行くか」


そんな眠さが残りつつあるが、わたしは玄関の扉を思い切り開けた。

その瞬間、風が自分に吹いてきて少し寒気を感じた。


秋の朝はやっぱり寒いなぁ。

それにもう11月だしそろそろ冬にもなっちゃうんだもんね。



「嫌だなぁ」


「なにが?」

「へ?」


ぴょこんっと飛び込んで私の顔を覗き込んだ要がそう言った。


あれ?さっきの声に出てたんだ。


「あれはー…、独り言」

「ふーん」


聞いといてそれだけか。

ふーん、まあ別にいいけどね?



その後、要は「行くぞ」と言ってわたしの手を引いて走り出した。