少し風変わりな彼は、特に戸惑うこともなく指定された席に座った。

転校を何度もする子がいるって聞いたことがあるけど、実際彼…津崎亮平はそういう子なんだろうか。

新しい学校に来て、顔見知りもいなくて、不安に思ったりしないんだろうか。

いろんな疑問が浮かんだ中、やはり気になったのは彼の性格であった。

優しいのか、はたまた怒りっぽいのか、ねちっこいのか、ユーモアなのか。

顔は小さめで、目はぱっちりと大きく色々なパーツも整っているから、きっとモテるんだろうなぁ。

うん、きっとモテるだろう。うちのクラスの女子はなかなかに粘っこいから気をつけ給えよ。

心の中でそう言いつつ、私は転校生には毎回恒例であろう質問攻めに参加した。

「ねぇ、亮平君ってどこから来たの?」

「東京。」

短く答えた彼の声に、クラス中は大騒ぎ。

ただでさえ田舎のこの学校に、わざわざ東京から越してきた理由はなんなのか。

誰もが気になっていた。

「俺病気で、新鮮な空気とか、吸うといいよって医者に言われたから。」

彼は静かにそう答えた。

少し重たい雰囲気になったが、冗談みたいに皆笑う。

こういう事は深く追求するべきじゃないって思ったんだろう。

「そりゃあいいや!ここ、何もないけど緑だけは腐るほどあるしさぁ。」

「それな、こんなにいらないっての!」

クラスのお調子者がそんなやりとりをする中、彼は少し微笑みながらそれを見つめていた。