「どうしても諦められなくて、ごめん。しつこくて」



逢坂海里の家がもうすぐだと彼が言ったときに少し先のほうから聞こえてきた親友の声。



「っ」



彼があたしが思うよりも先に走り出した。



「逢坂」


「あれ、西島くん？」



彼の登場に驚きを見せた陽菜はその奥にいるあたしを見つけて更に目を大きく見開く。



「あゆ！？」



あたしがずっと呼ばれているあだ名を呼ばれた。



「は、陽菜…」



まさか今日このときにすぐに陽菜に会うとは思っていなかった。



「なんで、あゆがこんなとこに？」


「陽菜、だれ？」



逢坂海里がやっとあたしから見える位置にくる。



「中学からの親友」


「へー。可愛いね。俺と付き合おうか？」



急にあたしのところに歩いてきて手を差し伸べようとする。