「ってか誰待ってるのかな?」



玉田くんがあたしの顔を覗き込む。



「笛田さんのこと?」


「いや、うん。どうだろう~…」



確実にあたしなのに、あたしだって認めれなかった。

玉田くんにじゃない。
誰にも知られたくないんだ。
だって、そんなに有名な不良なんでしょ?
あたしもそんな目で見られちゃうじゃん。



「もし、笛田さんのこと待ってるなら裏から出たら?」


「え?」


「そうすれば会わずに済むよ」



にっこり笑う。
あぁこの笑顔がだいすきだ。

……じゃなくて!
あたしが帰っちゃったら彼ずっと待ってるんじゃないの?
それはさすがにかわいそうだよ。



「大丈夫だよ。俺が誰待ってんの?って聞いてあげるから」


「え?」


「笛田さんならもう帰ったよって言ってあげる」



さすが玉田くん。
気が利くなぁー。



「じゃあそうしてもらおうかな?」



なんて、安易に返事をする。