だけど、どうもそれはあんまり効果はなかったみたいで。


「なに、キス顔でもしてるの?」

「なっ、そんなわけないでしょ……っ!」


からかわれてしまった。
キス顔で、こんな睨んでたら変でしょ!


「ほんとからかい甲斐があるね」

そう言いながらわたしの手を取って歩き出した。


「っ!?」

「今日だけ繋いで帰ろーか」


そんな顔で言われたら何も言い返せない。だから何も言わず家まで手を離さずに一緒に帰った。

知紘の手の温もりを感じながら……。