「はぁ…忘れてたんだな?」

「す、すみません」


呆れた顔とため息が向けられた。
こっちだっていろいろあって、頭いっぱいで正直そんなこといまさら言われても……。


「よし、じゃあ今からふたりでやってこい」

「は……い…?」


突然の発言に何言ってるんですかって顔で担任を見る。

だけど、そんなことお構いなしで


「どうせお前たち放課後暇だろ?おい、小波(こなみ)お前ちょっと待て!」


暇だと決めつけて、おまけに教室を出ようとしていた知紘を呼び止めた。


さりげなく知紘のほうに視線を向けると面倒くさそうな顔をしながら、こっちにやってきた。


「……なんですか?」


っ……、久しぶりにこんな近くで声を聞いた。


「お前たちふたり今から図書室の掃除だ!」

「……は?」


「ほんとは前から小波(さざなみ)には声かけてたんだけど見事にお前らふたりそろってサボってたしな?」


あ……しまった。わたし知紘に、このこと言ってなかった。