「……どうしてかな」 晴斗先輩が寝ているであろう部屋を見たら、涙が溢れてきた。 涙がフライパンの中に落ちて、ジュワって音をたてる。 すぐに消えちゃう涙。すごくあっけなくて、急に寂しくなる。 「なんで、失敗しちゃうんだろう」 お皿にのせたホットケーキは、まだら模様。 一枚目は必ず失敗。そんなこと、わかってた。わかっていたはずなんだ。 わたしは構わず二枚目を焼くことにした。