高校、大学、社会人と、状況が変わっても付き合い続けてきた。それはお互いに好きだと思っていたから。
そう思っていたのはわたしだけ?
思い出される初々しかったわたしたち。恋なんてほとんどわからないくせに、一人前なことを言っていた。
『どうしても、駄目ですか?』
何回も何回も告白して、一つ上の晴斗先輩が高校を卒業するその日にやっと恋人になれた。
それからいろいろあったが、ずっと付き合い続けてきた。
『歩美』
そう優しくわたしを呼ぶ声が好き。ちゃんと見ていてくれてるような気がするから。
水族館にも、動物園にも、遊園地にも行った。映画なんて、どれだけ観たかわからない。
好きな美術館の庭でお弁当を広げたり、夏祭りにも、イルミネーションも見たりして……。