ホットプレートなんて用意するのが面倒だし、場所を取るし、洗うのが大変。
 だからいつもフライパン。


 わたしはゆっくりとお玉で生地を掬いあげた。


 綺麗なフライパンに投入される生地。
 とろんとちょっぴり粘り気のある生地は、上から一直線にフライパンに抱きつくように落ちる。


 不思議とまるく広がったそれは、じっくり時を待つ。この待っている時間、わたしは嫌いじゃない。


 でも、今日は待つことが苦痛。いろいろ思い出してしまうから。



「ふう」



 息が自然と吐き出されて、ため息が出たことに驚いた。悩んでいるんだって証明しているみたいで、余計に心を傷つける。



『お前、おれのなんなの?』



 晴斗先輩にそう言われたのは昨日のこと。