【短】君とホットケーキ



「ごめん、なさい……」



 怒った顔をしていた晴斗先輩が、急に頬を赤く染める。



「晴斗先輩?」

「告白してくれた時みたいにさ、もっと頑張れよ」

「え?」

「諦めた顔するなよ」



 優しく諭すように言われて、ただ見つめることしか出来なかった。


 どこか悲しそうな顔をしていて、また涙が溢れ出す。



「何度も挑戦して、告白してくれる歩美。本当に輝いてたから。だからさ、おれ……」



 晴斗先輩は横を向いてしまった。



「だから、好きになったんだよ」



 今まで、晴斗先輩の言葉を聞いたことがなかった。


 わたしが行きたいと言えば行く。やりたいと言えばやる。


 晴斗先輩は自分の意見を言わない人。
 だけど、わたしの希望はなんでも叶えてくれた。