「実は今、危険な動画が出回ってるの」


『危険な動画?』


「うん。砂嵐の動画なんだけど、届いて次の日に見ると動画の内容が変化してるの」


『はぁ? なんだよそれ、そんな動画聞いたことないぞ』


「聞いたことがないなら、辞めるのは今の内だから!」


『ちょっと待てよイズミ。お前、泣いてるのか?』


寛太の言葉にあたしは初めて、自分が泣いていることに気が付いた。


頬に涙の筋ができている。


『ちょっと待ってろ、今から行くから』


寛太はそう言うと電話を切ったのだった。