教室へ到着しても沙良は無言のままだった。


相変わらず顔色も悪く、席に座るなり突っ伏してしまった。


そんな沙良を見ていたら、胸がギュッと苦しくなる。


昨日まではあんなに元気で楽しそうだったのに……。


「イズミ、沙良はどうかしたのか?」


登校してきた寛太が心配そうに沙良を見て、そう言った。


「うん……。誰かが悪質なメールを送ってきたの」


あたしは怒りのこもった声でそう言った。


沙良はもう呟きサイトには登録していない。


それでも動画が送られてくると言う事は、あの砂嵐動画の事を知っている人物が送ったとしか思えなかった。


「迷惑メールか? それなら拒否すればいいのに」


サラッと言う寛太にあたしは瞬きを繰り返した。


「そっか、拒否すればいいんだ!」


動画は消したけれど、拒否はしていないはずだ。