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結局、リナには何も聞けないままだった。


けれどあたしが保健室まで迎えに行かなければリナは今頃どうなっていたかわからない。


そう思うと、少しだけ安心できた。


今日1日休めばリナも気分が変わるかもしれない。


そう思って教室へ入った時、沙良が「イズミ」と、手招きをしてきた。


数人の女子たちと一緒に輪になっている。


「なに?」


そう聞きながら近づいていくと、沙良の手にはスマホが握られていた。


画面には何か動画が流れているけれど、砂嵐ばかりで何も見えない。


「なにこの動画」


「わからないんだけど、拡散で広まって行ってるみたいなんだよね」


動画に付けられている文章は《拡散希望》だけだった。


だからみんな拡散しているようだ。


「こんな動画拡散したって意味ないのにね」