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それから10分ほどするといつもの登校時間になり、教室の中はいつもの風景に戻っていた。


けれど賑やかさは欠けていた。


まるで賑やかにすることが悪いことだと思っているように、みんなとても静かだった。


「おはようリナ」


その声に顔を上げると沙良だった。


沙良も寛太同様に目の下にクマを作っている。


「おはよう沙良」


そう言ってどうにかほほ笑んでみるけれど、上手にはいかなかった。


「先生から話聞いて来たよ」


沙良の言葉にあたしは「え」と、目を見開いた。


「少しでも早く、幸穂に何があったのか知りたかったから」


そう答える沙良の瞳は強かった。


現実から目をそらしていない沙良に、少しだけ羨ましさを感じる。