「まだ決めてないよ。沙良は?」


「あたしもわかんないなぁ」


「それなら、あの町にいかねぇ?」


寛太の言葉にあたしと沙良は絶句した。


「な……んで?」


「松田裕に会いにだよ。あいつ、友達いなさそうじゃん」


寛太がそう言い笑った。


あたしと沙良は目を見交わせた。


正直、あの町に行くことはもうないだろうと思っていた。


「まぁ、遊びに行くくらいなら、ねぇ?」


と、沙良。


「沙良がいいなら、あたしもいいけど」


「よし、じゃあ決まりな!」


「寛太ってほんと人のことほっとけない性格だよねぇ」


あたしはそう言い寛太の肩を叩いたのだった。


もうすぐ夏休みがやってくる。


そうしたら、今度はちゃんと友達になりに、あの町へ行こう……。




END