途端に、寛太の目が吊り上がるのがわかった。


「寛太」


あたしが止める暇もなかった。


寛太はうずくまっている松田裕の胸倉をつかむと、無理やり立たせた。


「そのせいで何人もの人間が死んでも、お前はなんとも思わないのかよ!!」


松田裕は寛太にされるがままで、視線もおぼつかない。


「寛太……」


今まで死んで行った同級生の顔が思い出されて、ジワリと涙が浮かんできた。


幸穂。


リナ。


博樹。


「松田さん。ミズキさんの家に行きましょう」


そこに行けばきっとすべてを理解してくれるハズだった。


博樹の死体も置きっぱなしになっているし、沙良の様子も確認しておきたい。


松田裕は何も答えなかったけれど、あたしたちについて歩きだしたのだった。