「あなたはなにが起こっているのか知らなかった。けれど、感づいてはいたんですね?」


ただの勘だったけれど、あたしはそう言い切った。


愛する人の変化に全く見抜けないほどじゃないだろう。


松田裕はミズキさんの変化に気が付いていたのだ。


「俺はなにもできなかった。ミズキに何を聞いても『なんでもない』『大丈夫』って繰り返して……。なにか隠していることはわかってたんだ。でも、言いたくないなら無理に聞きださなくてもいいと思ってた。そしたら、あんなことに……!!」


松田裕はその場に膝をつき、頭を抱えた。


「俺は知ってたんだ! ミズキの変化に気が付いてた! それなのに、それなのに、なにもできなかったんだ!!」


悔しくて悔しくてどうしようもない。


そんな思いが伝わってくるようだった。


「だから俺はもう1度ミズキと話がしたかった。俺に言えなかったことを、ちゃんと聞きたかった!!」


「……だから、ミズキさんを蘇えらせようとしたのか」


寛太が呟くようにそう言った。


「そうだ。その通りだ」


松田裕は頭を抱えたまま肯定した。