「気持ちはわかるけれど、今学校も幸穂ちゃんのご両親も混乱しているの。朝になれば、学校へ行けばまた新しい情報があるかもしれないでしょ」


「そうかもしれないけど……!」


とても、朝になるまで待つ事なんてできなかった。


今すぐ幸穂に会いに行きたい。


死んだなんて嘘だって、笑った顔の幸穂が見たい。


そんなあたしの手を、お母さんがやさしく握りしめてくれた。


「きっと大丈夫よ。何があったのかわからないけれど、学校へ行けば先生だっているんだから」


そう言いながらあたしの頬に指をあてた。


どうやら、気が付かない間に泣いていたようだ。


幸穂が死んでしまったなんてまだ実感もないのに、涙腺だけが先走っている。


あたしは自分の涙を手の甲で強くぬぐった。


泣くな。


幸穂はまだ生きてる。


絶対に生きているんだから。